「漢文は要らない」2・白文について

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Michelle MariaによるPixabayからの画像

要点

  • 白文を読むのはそれほど難しくない。
  • 日本の古い正史も白文で読んだ方が良い。

漢詩を普通に楽しむためには白文で読んだ方が間違いなく良いが、この問題は漢詩にだけに留まらない。白文と返り点の問題は日本の古い正史の問題にも繋がっている。日本の古い正史は漢文体で書かれている。少なくとも、平安時代くらいまでの正史は漢文で書かれており、日本の歴史を知るためには漢文を理解する必要がある。

もちろんではあるが、日本の古典は現代文訳が存在するので、歴史を知るためだけであれば漢文自体を読む必要がない。これは時代における大きな進歩でもある。

例えば、奈良時代や平安時代初期において、万葉集の読み方を講読する講義が存在し、それによって万葉集の原語は伝承されていた。しかし、そのような講義がなくなってしまい、最終的には万葉集が読めなくなってしまう。それから何百年の月日が過ぎ、江戸時代になって万葉集の再註釈が行われ、やっと万葉集は言葉として復活する。それ以降、万葉集の原語が更に解明されることはあっても失われることなく、現代にまで至っている。

そういう意味では、日本書紀においても原文を読む必要がない時代だが、何かのきっかけで読みたくなった際に、果たして返り点を使って読むのかというのがここでの問題である。それをより理解するために、続日本紀の最初の部分を引用する。

続日本紀 巻第一〈 起丁酉年八月尽庚子年十二月 〉

従四位下行民部大輔兼左兵衛督皇太子学士

臣菅野朝臣真道等奉勅撰。

天之真宗豊祖父天皇〈 文武天皇 第〓二 〉

天之真宗豊祖父天皇。天渟中原瀛真人天皇之孫。日並知皇子尊之第二子也。〈 日並知皇子尊者。宝字二年有勅。追崇尊号。称岡宮御宇天皇也。 〉母天命開別天皇之第四女。平城宮御宇日本根子天津御代豊国成姫天皇是也。天皇、天縦寛仁。慍不形色。博渉経史。尤善射芸。高天原広野姫天皇十一年。立為皇太子。

http://www.j-texts.com/jodai/shoku1.html

この続日本紀は日本書紀に続く書物で、ここから平安時代にまで亘って正史が作られる。そして、これらは以上のように漢文体で書かれている。

この冒頭文章から分かるように、これを白文で読むためには複雑な中国語文法を必要としない。基本的に単純な語法しか使われていないので、基礎的な中国文法が分かれば、この文章は読める。文法という観点だけで言うと、何十時間もの勉強を要しないレベルだと思う。

それよりも、この文章を読むためには日本と日本語の知識が必要になる。つまり、元々日本的な観点の内容を漢文に直しているため、中国人には分からない語法が多数ある。それと同時に、古典の成句の知識も必要になる。古典では現代では使われなくなった言葉が頻繁に使われており、それらの註釈を通して文章全体を理解する必要がある。

初級中国語文法、日本に関する知識、古典の成句、この三つの知識があれば、日本の正史は白文で読める。これに返り点を付けて読むのは全く無駄であり、そんな研究者が存在するのかも怪しい。僕は研究者ではないので、どのような研究者が存在しているかは知らないが、中国語が喋れる観点からすると、これを白文以外で読むと頭が混乱してくる。どう考えても、何も付けずに頭から真っ直ぐに読んだ方が良いに決まっている。

次の問題は、この文章を白文で読む際にどこまでの中国語能力が必要かという点になる。

 

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