「外国人献金賄賂問題」4・外国人献金における仲介者という盲点

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要点

  • 外国人献金は仲介者を通して容易にロンダリングでき、その法の盲点がカジノ献金問題で明らかになった。
  • 外国人献金における仲介を犯罪行為とすることで、外国人献金禁止はより実効力を高められる。

カジノ献金問題において500社の献金スキームがどのようなものだったかは正確には分からないが、少なくとも、直接的に献金を受けて政治資金と記載しなかったケースと仲介者を間に入れて献金を受けたケースがあるように見受けられる。前者は確実に政治資金規正法に反しているのに対して、後者のケースは明らかに法の盲点になっている。

日本の外国人献金規制では仲介者という概念はない。一方で、OECDの外国人公務員賄賂規制には仲介者という概念がある。「whether directly or through intermediaries」という形で表現されており、仲介者を媒介としたケースでも犯罪になるとはっきりと規定されている。当たり前の話かも知れないが、仲介者を通すだけで献金がロンダリングできるのであれば、どんな賄賂でも簡単に贈れる。

問題はこの仲介者をどう規制するかである。外国人の献金があり、それを第三者が名義貸して日本人・日本法人からの献金と装えば、ほぼ犯罪には問われない。そして、それが露見した場合には資金が外国人から出たと知らなかったと言えば良いだけになる。

これが贈収賄のケースであれば、外国人献金であっても仲介者ごと贈収賄の対象となる。ただし、問題は現在の法制下では贈収賄に至らないグレーゾーンが存在するところに問題がある。不正競争防止法第18条では地位に基づくあっせんが犯罪と規定されている。日本の贈収賄においても、あっせん利得罪においても権限に基づく行為やあっせんは違法になるが、地位に基づくあっせんは違法にならない。

この二つを組み合わせると、外国人が日本人である第三者を介在して日本の政治家に資金提供して、担当者を引合わせる等のあっせん行為を行っても犯罪にはならない。最終的に仲介者を通した外国人献金が露見したとしても、政治家が献金の本来の出所は外国人とは知らなかったと言えば済む問題になってしまう。

一方で、日本人が全く同じ行為を外国公務員に対して行うと、不正競争防止法第18条違反になり、五年以下の禁固になる。そんな馬鹿な話はない。

500社はこの盲点を突いている。外国人や外国団体から直接的に献金を受けたこと自体が重大な問題であるが、それ以上に第三者を媒介すれば犯罪にならないという仕組みは作り替える必要がある。

この問題の改善方向性は二つしかない。一つは地位に基づくあっせんを禁止することである。そうすれば、そもそもこのような問題は起きない。ただし、日本の政治家がこのような法改正を受け入れるかどうかはかなり怪しい。

もう一つは外国人献金の仲介行為を犯罪とすることである。現実に名義貸しによる外国人献金ロンダリングが可能であることは明白になっている。仲介者が犯罪に問われない限り、日本にとってもっと深刻な問題が起こる可能性がある。と言うよりも、最早、外国人献金禁止は機能しない状態だと言える。現状においては贈収賄が認められるケースでない限り、外国人献金は犯罪にならない状態になっている。

仲介者を犯罪に問えば外国人献金の抑止力になる。一方で、これだけでは外国人献金の制御には弱い。仲介行為を犯罪にするのと同時に重要なのが、それを司法取引の対象にすることである。司法取引は刑事訴訟法第三百十条の二で規定されており、政令において取引の対象となる犯罪も列記されている。「刑事訴訟法第三百五十条の二第二項第三号の罪を定める政令」の三十九ではあっせん利得法が入っており、四十九では収賄も対象になっている。

政治資金規正法の外国人献金において仲介者を法規制する場合、同時に、司法取引の対象にすべきである。そうすることで、外国人献金禁止はより実効力を高められる。

 

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