「外国人献金賄賂問題」3・OECDルールと現行法の不均衡

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要点

  • 不正競争防止法では地位に基づく口利きやあっせんが違法行為に該当する。
  • あっせん利得法では権限に基づくあっせんのみが規制対象になっている。
  • この二つは贈収賄の表と裏の関係にあるが、贈賄側の法が厳しく、収賄側の方が緩くなるという法の不均衡を導いている。

外国人献金に関するOECDルールは献金する側を規制しており、日本においては不正競争防止法の第18条として立法化されている。その二つの条文を以下で並べて引用する。

OECDルール

Article 1

The Offence of Bribery of Foreign Public Officials

  1. Each Party shall take such measures as may be necessary to establish that it is a criminal offence under its law for any person intentionally to offer, promise or give any undue pecuniary or other advantage, whether directly or through intermediaries, to a foreign public official, for that official or for a third party, in order that the official act or refrain from acting in relation to the performance of official duties, in order to obtain or retain business or other improper advantage in the conduct of international business.
  2. Each Party shall take any measures necessary to establish that complicity in, including incitement, aiding and abetting, or authorisation of an act of bribery of a foreign public official shall be a criminal offence. Attempt and conspiracy to bribe a foreign public official shall be criminal offences to the same extent as attempt and conspiracy to bribe a public official of that Party.
  3. The offences set out in paragraphs 1 and 2 above are hereinafter referred to as “bribery of a foreign public official”.
  4. For the purpose of this Convention:
  5. a) “foreign public official” means any person holding a legislative, administrative or judicial office of a foreign country, whether appointed or elected; any person exercising a public function for a foreign country, including for a public agency or public enterprise; and any official or agent of a public international organisation;
  6. b) “foreign country” includes all levels and subdivisions of government, from national to local;
  7. c) “act or refrain from acting in relation to the performance of official duties” includes any use of the public official’s position, whether or not within the official’s authorised competence.

 

不正競争防止法

第十八条 何人も、外国公務員等に対し、国際的な商取引に関して営業上の不正の利益を得るために、その外国公務員等に、その職務に関する行為をさせ若しくはさせないこと、又はその地位を利用して他の外国公務員等にその職務に関する行為をさせ若しくはさせないようにあっせんをさせることを目的として、金銭その他の利益を供与し、又はその申込み若しくは約束をしてはならない。

基本的に、不正競争防止法第18条は上記のOECDルールを立法化したものであり、全く同様の趣旨である。この中に贈収賄や政治資金規正法における重要な論点が一つある。それが以下のOECDルール4cである。

「“act or refrain from acting in relation to the performance of official duties” includes any use of the public official’s position, whether or not within the official’s authorised competence.」

これは不正競争防止法第18条で明確化されており、「その外国公務員等に、その職務に関する行為をさせ若しくはさせないこと、又はその地位を利用して他の外国公務員等にその職務に関する行為をさせ若しくはさせないようにあっせんをさせること」と何が構成要件に該当するかが規定されている。

この構成要件の中に「地位」という概念がある。つまり、地位に基づく贈賄も犯罪と規定されている。要するに、ある一定の地位にある外国公務員に対して資金提供をし、その条件下では全ての口利きやあっせんが犯罪に該当する。それくらい厳しい規定になっている。この条文は公職者あっせん利得法と比較可能であり、その第一条は以下のようになっている。

第一条 衆議院議員、参議院議員又は地方公共団体の議会の議員若しくは長(以下「公職にある者」という。)が、国若しくは地方公共団体が締結する売買、貸借、請負その他の契約又は特定の者に対する行政庁の処分に関し、請託を受けて、その権限に基づく影響力を行使して公務員にその職務上の行為をさせるように、又はさせないようにあっせんをすること又はしたことにつき、その報酬として財産上の利益を収受したときは、三年以下の懲役に処する。

公職者あっせん利得法では「権限に基づく影響力を行使して」あっせんを行った場合に犯罪になると規定している。不正競争防止法第18条では「地位」に基づくあっせんも違法になっているため、不正競争防止法の方が犯罪を幅広く認定している。

公職者あっせん利得法はOECDルールに基づく法律ではないため、この二つに齟齬が起こった理由は分かる。一方で、公職者あっせん利得罪に関しても、地位に基づく影響力行使を違法とすることは可能である。この場合、地位とは国会議員であることを指している。現実的に、日本では権限のないあっせんは頻繁に存在し、その際に資金提供を受けても贈収賄の対象にはならない。

ここに法の不均衡が生じている。日本人が外国人政治家に資金供与して、担当者を紹介して貰うと犯罪になる。一方で、日本の政治家は外国人から資金供与を受けて担当者を紹介しても犯罪にならない。

もちろん、外国人献金は政治資金規正法の対象になっており、犯罪に該当する。しかし、ここで問題になるのが外国人献金ではないと装った場合にどうなるかである。日本人や日本の団体から献金であれば、権限を持っていないあっせんをした場合に贈収賄の対象にはならない。一方で、不正競争防止法では地位に基づくあっせんも規制しているため、本質的には日本国内の同様の行為も犯罪にすべきである。

更なる問題は、このような仲介者が存在した場合にどうなるかである。現在において、外国人献金を行う際に日本人等が仲介者として間に入った場合、政治家側は献金の源泉を知らなかったと主張でき、また仲介者側も違法に問えない可能性が高い。そして、不正競争防止法で禁止されているレベルの犯罪が日本国内では自由に行えるようになっている。

このような法の不均衡が起こっている原因の一つは仲介行為が犯罪と規定されていないからである。実は、この仲介者もOECDルールの一つの論点になっている。

 

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