「子供の自殺増加の背景」13・学校要因は根本的にいじめ問題

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要点

  • 子供の自殺の最大要因は学校問題である。
  • 学校内での暴力行為は増えているが、それは自殺へとは繋がっていない。
  • いじめが根本的な問題である。

いじめの議論をする前に学校内における暴力行為に触れておく。

暴力行為統計

これは平成30年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査内で公表されているグラフをそのまま引用している。この図の通り、暴力行為は近年も増え続いているが、それには注釈が必要である。現実問題として小学校では暴力行為が爆発的に増えており、中学校及び高校では校内暴力が趨勢的に減少している。

中高での減少は実際には生徒数減少並であり、減少自体が行政の誇れるような成果ではないが、増えていないことには違いない。一方の小学生の暴力行為は増えているものの、自殺という観点からするとそれほどの大きな影響は持っていない。と言うのも、小学生が自殺するケースは少ないため暴力行為の増加と子供の自殺増加の連関は高くない。

学校要因による自殺

文科省の調査にある通り、学校要因における自殺において学業問題は最大の問題ではない。自殺統計で学業関連が7割を越えているが、二つの調査の違いは警察の公式発表はかなり歪んでいることを傍証している。

この文科省調査の項目の中には不登校要因による自殺が10%近くもある。この調査の前提は学校要因による自殺であるため、この不登校には家庭要因と精神疾患に由来するものが含まれてない。学校要因で不登校になり、最終的に自殺したというケースだけである。つまり、ここでの不登校とは学業問題ではなく、ほとんどがいじめのはずである。

文科省調査のアンケートの答え方を勘案するに、直接的にいじめで自殺しなければ、いじめによる自殺には該当しないようである。つまり、いじめによって不登校になり、その後に自殺すれば不登校による自殺と判定される。

その他にもアンケートの採り方に一定のバイアスが埋め込まれている。この調査の中には友人関係に由来する自殺という項目があり、これはいじめとは関係がないとラベルされている。しかし、それがいじめよりも圧倒的に大きな自殺理由になっている。これもほぼ統計の取り方の問題で、いじめではない友人関係による自殺がいじめよりも大きな社会問題になっているとは考えられない。

結局、いじめと認定されるケースが極端に少ないだけであって、本質的にはいじめ問題による自殺が隠蔽されている。以上の二つの項目をいじめによる自殺と追加認定するだけで、いじめ要因は2割を越えるようになり、学校要因による自殺の最大問題になる。文科省調査では半分以上の自殺要因が説明されておらず、それを考慮すると3-5割がいじめ関連の可能性が高い。仮にこの比率が過半を超えていても驚かない。

現状の自殺統計は数字自体がおかしく、半意図的に事実が隠蔽されている。学校要因による自殺問題の多くはいじめに起因しており、いじめも虐待と同じように増加している。次はいじめ問題の増加について掘り下げる。