「2019香港選挙」1・民主主義的意見の表れ

boat on body of water
Photo by Nextvoyage on Pexels.com

要点

  • 今回の香港選挙は、改めて、選挙が民主的意見を明らかにする重要な手段だと示した。
  • 香港住民の大勢は民主派を支持した。

2019年11月、香港で区議会選挙が行われ、圧倒的に民主派が勝利した。その結果は以下のようになっており、民主派の勝利は一目瞭然である。

香港選挙結果

この選挙結果には幾つかのポイントがあり、実は、どの数値を使うかによって見方が大きく変わる。それは同時に、どの視点から投票結果を見るかで捉え方が変わるという意味でもある。中国大陸の視点から見ると、北京派が意外に健闘した選挙と言うだろうし、欧米側から見ると、もちろんそのままに民主派が選挙に勝ったと言うだろう。

このような差異は今年の香港の闘争全般にわたって当てはまり、英語と中国語では全く違う視点からニュースを流し続けていたし、今でも流し続けている。両方の主張があまりにもワンサイドなので、個人的にはどちらのニュースも深く信じないようにして見ていたが、結果として、僕はここまで選挙結果が出るとは思っていなかった。

つまり、ニュートラルに情報を集めた結果、香港の現地でどのような感情が生み出されているか正確に理解できなくなっていた。結果からすると、僕が中国側のニュースの意見により流されていたとも言える。

中国は国内で流す香港情勢に関して、香港内での北京支持派の意見を流している。それと同時に、一国二制度とアメリカによる内政干渉を強く採り上げている。個人的には、中国政府の香港政策には問題があると思っているが、一方で、内政干渉批判にも一理あると思っている。

全ての国家は内政に干渉されたくないと思っており、国家の主権に対する国外からの干渉は出来る限り排除したい。それはアメリカにも言えることで、だからこそ、ロシアの選挙介入が大きな問題になっている。

ただし、選挙介入は別にしても、内政の全てが完璧ということはあり得ないため、他国の内政に対する意見は程度の問題だと思う。内政が非難されたり、苦言を呈されたりすることはある種正常であり、問題はどのレベルまで他国の内政に関する話は出来るかという所にある。

その上において、今回の香港選挙は選挙という制度が偉大な装置だということを改めて示した。国内外からいろんな視点やいろんな意見は流せるが、国外からのあまり効果のない意見表明も、国内におけるプロパガンダも関係なく、選挙は限りなく民主的意見を集約する制度として機能した。

選挙結果という意味においては、民主派の圧倒的勝利として終わったが、この背景を更に深掘りしてみる。中国的に言うと事実求是であり、香港居民がどのような民意を持っているのかを分析する。そのような分析をすることによって、民主主的な意見がどこにあったかが副次的に把握できるようになる。