「新型肺炎・緊急事態宣言後」6・商業施設の再開とリスク低減

person walking on street near buildings
Photo by O-seop Sim on Pexels.com
  • 中小のビジネスを長期間休業させると、本当に立ち行かなくなってしまうため、感染予防対策と共に営業を継続させる必要がある。
  • そもそも、特措法の趣旨は感染の予防や蔓延の阻止であって、感染をゼロにする所を目標としていない。
  • 特措法は感染症対策と同時に国民生活及び国民経済に及ぼす影響を最小にすることも謳っている。
  • そういう意味では、大型施設が休業要請の対象になるのは分かるが、必要な感染予防対策を施して開業しないと、いずれかの段階で住民の健康は持たなくなってくる。

 

地方自治体は緊急事態宣言に合わせて多くの施設に休業要請を出しており、その中でも東京都の休業要請リストは2020年4月17日付けで公開されている。これまで議論してきた商業施設や学校に関しては、この休業要請のリストの中に含まれており、その他の施設に関しても、以下のリンクからどのような業種が休業要請の対象になっているかが把握できる。

https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/1007617/1007679.html

現在休業している施設であっても、廃業や倒産しない限り、いずれかの段階で営業が再開される。その中には大きな商業施設だけでなく、例えば、英会話教室、音楽教室、生け花、茶道等の比較的小規模のビジネスも休業要請対象になっている。これらの業種に対して、今後一年間ずっと休業要請するのは現実的ではない。そのため考慮すべきはこれらの施設がどれくらいの感染リスクを持っていて、どのようにすればリスクを低減できるかという点にある。

これまでの日本の感染の経緯として、これらの施設やビジネスが夜の街ほど感染リスクが高いとは言われておらず、また、合唱クラブを除いて集団感染が判明したという話もない。ただし、キャバクラと茶道を比較した際に、人と人の接触という点においては大きな差はないかも知れない。違いがあるとすれば、キャバクラ等のナイトクラブには不特定多数の人が出入りするため、ウイルスが侵入しやすいという点かも知れない。そして、商売の形態として新型コロナウイルスが侵入した際に集団感染が起こりやすい環境にあるが、その点に関しては茶道のような各種教室と大きな差はないかも知れない。

一方で、各種教室であれば基本的にマスク・手洗い・社会的距離を導入しやすく、また密室で教室を開く必要もない。つまり、夜の街よりもリスクを低減することは可能であり、同様の感染リスクレベルと判断する必要はない。

 

このようなリスク低減のし易さという条件は小型の商業施設についても当てはまる。例えば、ネイルサロンのような場所では従業員と顧客の距離は確実に近いものの、社会的距離以外の感染予防対策は取れる。問題があるとすれば、行政の側がどのような対策を採るべきかをはっきり言わないところにあり、マスク、手洗いだけでなく、消毒や換気等、予防実施項目をちゃんと提示すれば、個別のショップはほぼ協力するだろう。

実際のところ、1000平米以下の施設はインフル特措法上休業要請の対象にはなっていないため、本質的には休業する必要もない。特措法は感染の蔓延を防ぐところに主目的があり、住民の社会活動を大幅に制限して個別の感染リスクまで制御することを目指していない。結局、インフル特措法の趣旨は集団感染を防ぐことであって、感染者をゼロにするところに目標がない。

通常、法律の最初に法の趣旨が記載されており、インフル特措法の第1条によると、「新型インフルエンザ等の発生時において国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活及び国民経済に及ぼす影響が最小となるようにすることを目的とする」となっている。つまり、インフル特措法自体は国民経済に及ぼす影響を最小にすることも目的とされているため、行政に大幅な私権制限の権限を与えていない。

 

この逆の観点からすると、大型施設は集団感染を抑える対象になっているということでもある。東京都の休業要請リストの中には水族館、動物園、博物館が含まれており、実際に休館になっている。これらは公共施設であるため閉鎖しやすい条件下にあるため、確実に行政が制御できる範囲内にある。ただし、閉鎖しやすいということとリスクが高いという事は同じではない。例えば、動物園は基本的に屋外にあり、それがハイリスク施設だとは思えない。マスク、手洗い、社会的距離を励行するだけで、かなりリスクは下げられる。一方で、博物館は屋内にあるものの、あの中で叫んだりすることは禁止されている。

問題があるとすれば、確かに上野動物園や東京国立博物館の企画展はかなり混雑している。とは言え、それは東京特有の問題であって、天王寺動物園や大阪市立美術館はそんなに混んでいない。一般論からすると、通常のリスク対策をすればほとんどの大型施設は営業可能であり、極端に混雑する一部の施設に対してのみ入場制限や休館を求めるだけで十分である。

公共施設であるため閉鎖しやすいのは十分に分かるが、一方で、住民は何もできないままずっと家に籠もるという生活も出来ない。今後暫くの間、感染リスクを避けるような生活をしなければならないことを考えると、このような公共施設も一定のリスク対策を行って営業を行うべきである。冷静に考えれば分かるが、人はいずれ家を離れて外に出て行く。その際に、極端なリスク対策として休業というものを続けていれば、人は全くリスク低減対策を行っていないような施設に集まることになってしまう。大切なことは、現時点でどのような感染リスクがあるかということと、どうすればリスクが低減できるかを伝えることであり、そうすることで、住民もまた商業施設の側も適切な感染予防措置が実行できるようになる。

 

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