「新型肺炎・緊急事態宣言後」4・フィットネスクラブとライブハウス

silver and black dynamic metal microphone
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  • 夜の街ほどではないにせよ、フィットネスクラブやライブハウスも新型コロナの集団感染源になった。
  • 閉鎖空間で大きな息づかいをするような施設では感染拡大が起きやすい。
  • これまでの感染の知見からすれば、両商業施設ともある程度感染リスクを低減させて営業できるはずである。
  • 一方で、当面の間、以前と同じような営業スタイルは出来ず、一定程度の制限を受け入れ続ける必要がある。

 

新型コロナウイルス感染症が日本で拡大する際に、一部の商業施設で集団感染が起こった。特に、フィットネスクラブとライブハウスでの感染拡大は注目を集め、結果として、多くの施設が休業することになった。

この二つの商業施設はキャバクラ等と同じように閉鎖空間になっている。フィットネスクラブは冷暖房の関係で閉鎖施設になっており、それだけの問題であれば窓を開けて換気することは可能である。一方のライブハウスはそもそも防音する必要があり、どうしても密閉された空間になる。ライブハウスがライブハウスである限り、閉鎖空間でなくなることは難しい。

それ以上に、この二つの商業施設に類似しているのは大きな息づかいだと思う。ライブハウス内では曲に合わせて叫んだり歌ったりすることがあり、またフィットネスクラブにおいては運動と共に体細胞に酸素を供給するために息が大きくなる。その結果として、通常状況よりもウイルスが排出されやすい状況が出来ているのだろう。

 

フィットネスクラブにおいて換気をすれば、ウイルスが籠もる状況は改善できる。一方で、呼気が大きいため、それだけで感染対策として不十分な可能性があり、結局、それをある程度抑えるためにはマスクを着けることになる。ただし、それはサージカルマスクである必要性はない。どうせ運動するのだから、トレーニングマスクでも構わない。

要するに、直接的な飛沫を抑え、ある程度フィルターでウイルスを低減できれば、リスクは十分に低減できる。ただし、フィットネスクラブを利用する全ての人がトレーニングマスクを着けるというのも異様かも知れない。室内を換気した状態でサージカルマスクを着けるだけでも、ある程度リスクは下げられる。また、そもそもフィットネスクラブ内では十分な物理的距離があるため、社会的距離を取るのは難しいわけではない。

一方で、ロッカールームは依然としてリスクが高いまま放置されてしまう。消毒やウイルス除去フィルターを導入し、従業員や顧客の検温をすれば、リスクはある程度下げられるが、完全にゼロにすることは出来ないだろう。

結局、これまで感染源になった場所には感染が広がり易い環境があり、その環境を改良することで感染リスクは下げられるものの、完全にリスクがなくなることはない。

 

ライブハウスも特有の問題を抱えており、密閉された室内で、かつ、かなり近い距離で叫ぶことがあるため飛沫感染が起こりやすい環境になっている。ただし、この叫ぶという行動自体は止められるし、近い距離自体も止められる。例えば、ブルーノートやコットンクラブのような場所では観客は基本的に叫んだりしない。あるいは、大きなコンサートホールでも叫ぶ客は限られている。それぞれの音楽に対して、それぞれの楽しみ方があり、今は叫ぶという行為が危険であるため、それを止めない限り、ライブは常にリスクが高いまま残ってしまう。

もう一つの距離の方は座席を導入すれば何とかなる。確かに、ライブハウスのオールスタンディングの一体感が良いかも知れないが、あの状態を2時間近くも続けるのはリスクが高い。どう考えても座席を導入して、顧客の距離を物理的に開けるしかなく、その上で常時マスクを着ける必要がある。もし、スタンディングのままを維持するのであれば、最低でも飲食の販売を控える必要があるかも知れない。そうなると、ライブハウスは違う形で付帯収入を目指すことになる。

現実的には、ライブハウスよりも大きなホールの方が安全であり、地方自治体によって運営されている施設は多数ある。それらの施設において物理的距離の取れるような座席配置にすれば、ライブのリスクはかなり低減できる。自治体側が使用料をディスカウントすれば、観客の数を減らすことは容易であり、その方が全体として感染リスクを下げられる。そして、それよりも屋外の施設の方が安全である。そうやって考えると、ライブ自体が不可能ということはなく、リスクを下げた形の運営は十分に可能である。一方で、当面の間は観客の数が減るため、その分を付帯収入で補足する必要が出てくる。

 

このように考えてくると、合唱サークルで集団感染が起こったというのも分かるような気がする。つまり、大きな息づかいを生み出す行為が感染を拡大させる起源になっている。その中で悩ましいのがカラオケのような施設である。

カラオケはナイトクラブ並みに逃げ場がないように感じる。つまり、潜在的な感染者と一緒にカラオケに行って、2時間も同じマイクで一緒に歌って飲み食いしていれば、感染の確率は極めて高いと思う。そして、カラオケがカラオケである限り、対策を立てるのは極めて難しい。リスクを下げるためには大人数を禁止する以外に浮かばない。少人数であれば感染が起こったとしても、集団感染だけは避けられる。

 

結局、全ての密閉された遊興施設には感染リスクがある。特に、マスク、手洗い、社会的距離が得られないような施設では感染リスクが高まる。

そして、更なる問題は新型コロナウイルス感染症が当面の間終わらないところにある。これが2か月で終わるのであれば、2か月間だけ休業補償をして、その後に通常営業と出来るかも知れない。もしかすると、2か月前の行政はそのようなイメージを抱いていたのかも知れない。つまり、2週間我慢すれば普通の生活に戻れると。

現実的には、新型コロナウイルスの新規感染者がゼロになっても、多くの業種で通常営業には戻れない。特に閉鎖空間を利用している遊興施設が以前と同じように営業すれば、新型コロナウイルスの再拡大はほぼ間違いない。一度陰性になった患者でも再陽性化が起こっており、また日本には多数の無症状の感染者が存在する。そのため、ワクチンか、あるいは、それ以外の何らかの形で集団免疫が出来ない限り、元の生活には戻れないし、元の営業の形には戻れない。

つまり、多くの業種が一定程度の制限を受け入れて、営業再開するしかない。本来的にビジネスの趨勢は市場の需給と経営者の才覚で決定されるべきであり、国が介入することによって優勝劣敗を決めるべきではない。国は感染リスクを下げるように一定程度の介入が出来るだけであって、限度以上の介入は出来ない。その限度がどこかは難しい問題であるが、数ヶ月もずっと自粛要請を続けるのは限度以上の介入である。行政はこれまでに得られた新型コロナウイルス感染の知見を活かして、適度な感染症対策を講じるべきである。行政は全ての業種に対して感染予防の細目を決める必要はないが、少なくとも、それぞれの経営者がビジネスを継続できるようなガイドラインを示す必要がある。

 

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