「新型肺炎対策初動評価」1・対策の体制

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要点

  • 新型肺炎の対応策については、新型コロナウイルス感染症対策幹事会で決められている。
  • 幹事会の議長は沖田芳樹内閣危機管理監であり、これまでの対策の成否もこれからの対策の成否も、彼と彼を任命した安倍首相が負う。

新型肺炎についての一般的な議論を見ていると、根本的に理解が欠落している部分があるように見える。それはどのような病気かという話ではなく、日本政府がどのような体制で新型肺炎に対処しているのかという問題である。もちろん、日本政府が何らかの組織を持っていることはみんなが理解しているが、実際には、どこでどのように決まられているかが理解されていない。

と言うよりも、日本政府はどのように決定がなされているかをちゃんと伝えていない。意図的に曖昧模糊な状態にしているのかどうかは知らないが、結果として、国民は日本政府の体制をほぼ理解していない。

今回の対策は「新型コロナウイルス感染症対策本部」が最終責任を持っている。いずれリンクが壊されるかも知れないが、以下のリンクに対策本部の情報が見られる。

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/novel_coronavirus/taisaku_honbu.html

この組織は内閣官房の中に置かれており、その構成員は以下のようになっている。

  • 本部長 内閣総理大臣
  • 副本部長 内閣官房長官 厚生労働大臣
  • 本部員 他の全ての国務大臣

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/novel_coronavirus/th_siryou/konkyo.pdf

これがニュースに出てくる対策本部の実態である。冷静に考えれば分かるが、安倍首相をトップにした機構で、構成員が大臣だけであるため、この会議だけで議題を決め、議論し、決定を下す全ての行為を出来ない。この対策会議に最終決定権があり、安倍首相が責任者ではあるが、この会議に上がるまでにほとんどの内容は決まっている。

これは閣議と次官連絡会議の構造と全く同じになっている。日本の閣議では議論がほとんどされない。7-8年前に議事録が録られるようになってからは以前以上に議論がなくなっている。それでは日本政府は何も決定できないという話になるが、実際には、閣議に上がる内容は事前に行われる次官連絡会議で決まっている。そして、それがほぼ閣議決定事項になる。

対策本部の対になる組織は「新型コロナウイルス感染症対策本部幹事会」である。ただし、この議事録が公表されていないので、実際のところ、どんな議論がされているのかは分からない。ただし、対策本部で議題が決定できない以上、対策本部で最終決定される議論の全てが対策幹事会で決定されているはずである。そして、その事務局には厚労省の役人が呼ばれており、そこで総合調整が行われる。とは言っても、閣議とは違い、幹事会では実質的に議論がなされ、そこで新型肺炎対策の方向性が決定される。

この議事録が公表されないために、実際にはどのような議論がなされているのかが分からない。問題の性質上すぐに公開するのが正しいのかどうか分からないが、いずれ公表されるべきものだと思う。

一方で、もう一つ問題があって、それは幹事会のメンバーである。それが以下のようになる。

  • 議 長
  • 内閣危機管理監
  • 副議長
  • 内閣官房副長官補(内政担当)
  • 内閣官房副長官補(外政担当)
  • 内閣官房副長官補(事態対処・危機管理担当)
  • 内閣官房内閣審議官(内閣官房副長官補付)兼 厚生労働省医務技監
  • 構成員
  • 内閣官房内閣審議官(国家安全保障局)
  • 内閣官房内閣審議官(内閣官房副長官補(内政担当)付)
  • 内閣官房内閣審議官(内閣官房副長官補(外政担当)付)
  • 内閣官房内閣審議官(内閣官房副長官補付)兼 厚生労働省大臣官房審議 官(健康、生活衛生、アルコール健康障害対策担当)
  • 内閣官房内閣審議官(新型インフルエンザ等対策室長)
  • 内閣官房内閣審議官(健康・医療戦略室次長)
  • 内閣官房内閣審議官(東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競 技大会推進本部事務局企画・推進統括官)
  • 内閣官房内閣審議官(危機管理審議官)
  • 内閣官房内閣審議官(内閣広報室)
  • 内閣官房内閣審議官(内閣情報調査室)
  • 内閣府大臣官房総括審議官
  • 警察庁警備局長
  • 金融庁総合政策局総括審議官
  • 消費者庁次長 復興庁統括官
  • 総務省大臣官房総括審議官(広報、政策企画(主)担当)
  • 消防庁次長
  • 法務省大臣官房政策立案総括審議官
  • 出入国在留管理庁次長 外務省アジア大洋州局長
  • 外務省領事局長
  • 財務省大臣官房長
  • 文部科学省大臣官房サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官
  • 厚生労働省大臣官房審議官(危機管理、科学技術・イノベーション、国際 調整、がん対策、国立高度専門医療研究センター担当)
  • 農林水産省大臣官房危機管理・政策立案総括審議官
  • 経済産業省大臣官房技術総括・保安審議官
  • 資源エネルギー庁長官
  • 中小企業庁長官
  • 国土交通省大臣官房危機管理・運輸安全政策審議官
  • 環境省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官
  • 原子力規制庁次長
  • 防衛省大臣官房衛生監
  • 防衛省統合幕僚監部総括官

要するに、関連する部署の事務方の担当責任者が集まっている。これのどこが問題かという名前が書いていないことである。もちろん、クロスチェックすれば、該当する人物が誰を指しているかは分かるが、現在の日本の重大事を扱っているのだから、誰が会議に参加しているかくらいは名前付きで公表しても良いと思う。

いずれにせよ、この幹事会のトップは内閣危機管理監である。現在の管理監は沖田芳樹元警視総監である。彼に決定権があり、ここで決まった内容が対策本部に上げられて最終決定される。本質的には、対策本部でも事前に決めた内容を覆せる。ただし、今までの安倍政権の経緯を考えると、沖田内閣危機管理監の下で決定がなされ、安倍首相が追認するという形になっているはずである。

つまり、新型肺炎に関するこれまでの対策の成否も、これからの対策の成否も、少なくとも最終的な意思決定に関しては沖田内閣危機管理監と彼を任命した安倍首相が責任を持つことになる。

 

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