「外国人献金賄賂問題」2・政治資金規制法の変遷とOECDルール

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要点

  • 旧政治資金規正法では外国人献金は全面禁止ではなく、選挙に関連しての献金のみが禁止されていた。
  • 昭和50年の法改正によって外国人献金は全面的に禁止になった。
  • この法改正は外国勢力の介入を未然に防ぐためとなっているが、国民主権を立法化したものと考えた方が良い。

政治資金規正法の歴史は古く、昭和23年に国会で成立しており、その当時から外国人献金規制の法制度はあった。旧政治資金規正法では以下の条文のように規制されていた。

第三十六条 何人も、選挙に関し、前条第一項各号に掲げる者に対して寄附を勧誘し又は要求してはならない。

何人も、選挙に関し、前条第一項各号に掲げる者並びに外国人、外国法人及び外国の団体から寄附を受けてはならない。

この当初の規定は外国人献金を全面に禁止したものではなく、選挙に際してのみ外国人献金を忌避していた。政治資金規正法は昭和50年に大幅改正され、その際に外国人献金規制は更に厳格なものになった。

第二十二条の五 何人も、外国人、外国法人又はその主たる構成員が外国人若しくは外国法人である団体その他の組織から、政治活動に関する寄附を受けてはならない。

現在の条文はこれとほぼ同様であるが、外国人の規定が更に細かくなっている。それは外国人献金の基準を一部緩和するものであり、平成18年の第165回国会の特別委員会で改正案が議論された。その国会での議論を読めばどのような論点が立法過程で挙がっていたかが分かる。

http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigirokua.nsf/html/kaigirokua/007116520061201005.htm

日本政府は外国人献金禁止の趣旨として「未然に」外国勢力の介入を防ぐためと説明している。それは昭和50年の改正を指しており、以前においては選挙に関連して外国人からの寄附を禁止していたが、それ以降では全ての献金が禁止になった。それが「未然」の由来である。ただし、これを行政権の範囲と捉えるより、憲法の国民主権の一部を立法化した条項だと捉える方が適切だと思う。

この昭和50年改正前であれば、外国人からの献金を受け付けることができた。つまり、CIAもKGBも日本の政治家に献金し、日本の政治を左右することができた。この改正は三木内閣下で成立しており、それは直前の田中内閣が金脈問題で倒閣したことに由来している。

一方で、ロッキード事件はこの法改正後に発覚するが、田中角栄は政治資金規正法違反には問われてない。それは資金提供が法改正前であり、外国人献金の規制の範囲にはなかった。つまり、逮捕時には法改正はされていたものの、法の不遡及の問題があり、改正前の外国人献金自体は不問になった。結果として、田中角栄は受託収賄と外為法違反で起訴された。

現在の法律は形式的に全ての外国人献金を禁止しており、贈収賄よりも厳しい規定である。一方で、現在の規制には盲点があり、それを国際的な観点から洗い出してみる。

OECDは政治家を含む外国人公務員に対する賄賂・献金規制に関してルールを出している。それは「Commentaries on the Convention on Combating Bribery of Foreign Public Officials in International Business Transactions」と言うもので、1997年11月21日に決議として採択された。これは贈賄側、つまり献金する側を規制する法律であるが、贈賄と収賄は表と裏の関係にあるため、次は国際的比較の観点から、この法律と現行の法制度の整合性を考える。

 

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