「子供の自殺増加の背景」7・児相通報の激増

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要点

  • 児相への通報件数はかなり増加している。
  • 通報が増えた理由は複数あるが、間違いなく、児童虐待は増えている。

 

いろいろ理由はあるものの、現在、児相への通報は爆発的に増えている。

児相への通報

このグラフは2008年以降の児相への通報件数である。2008年に年間4万件だったところから、今では年間14万件に近づいており、この10年で3倍にもなっている。誰がどう見ても、一目で児相への通報が増えているのが分かる。

ただし、児相への通報増加にはテクニカルな理由も存在する。それは制度運用上の変更であるが、それを考慮しても虐待件数が増えていることは間違いない。また、通報が増えたのは何でも通報されるような時代になったとも主張できるが、それだけではこのような大幅な増加は説明出来ない。つまり、背景にある子供への虐待は増えている。

このグラフの前提になっているのは親による子供への虐待であり、児相を管轄している厚労省は児童虐待を以下のように定義している。

身体的虐待 殴る、蹴る、投げ落とす、激しく揺さぶる、やけどを負わせる、溺れさせる、首を絞める、縄などにより一室に拘束する など
性的虐待 子どもへの性的行為、性的行為を見せる、性器を触る又は触らせる、ポルノグラフィの被写体にする など
ネグレクト 家に閉じ込める、食事を与えない、ひどく不潔にする、自動車の中に放置する、重い病気になっても病院に連れて行かない など
心理的虐待 言葉による脅し、無視、きょうだい間での差別的扱い、子どもの目の前で家族に対して暴力をふるう(ドメスティック・バイオレンス:DV) など

<https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosodate/dv/about.html>

児童虐待内訳

以上のグラフは先ほどの児相への通報の構成を示したものであり、明らかに、心理的虐待が増えている。これが児相への通報増加の要因であり、これは別段で議論する。このグラフは現状をよく説明しているが、一方で、これだけを見ると身体的虐待が減ったようにも見える。しかし、以下のグラフを見れば、またその印象が変わる。

児童虐待伸び率

心理的虐待の通報が爆発的に伸びているため他の虐待は比率的に減少しているが、実際の所、身体的虐待の通報件数は増加している。性的虐待やネグレクトも同様であり、全ての児童虐待が増加している。

家庭要因による子供の自殺というのは、このような親子関係の問題の最終形態の一つであり、もう一つが親による子供の殺害である。家庭問題による自殺が増えているのは親子関係トラブルが増えているという意味であり、それが児相への通報増加として現れている。

それでは、どうして、このように児相への通報が増えたかについて議論を進める。

 

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